報酬未払いについて、自分で裁判を行う時の訴状の書き方とは?

ビジネス法務一般

こんにちは。甲斐です。

フリーランスが報酬未払い等のトラブルに巻き込まれた場合、最終的には裁判を行う事を検討するでしょう。

しかしこの裁判、初めてやる人にとってみれば「本人訴訟」に関する書籍で勉強する必要があり、手間と時間がかかってしまいます。

そして、最大の難関と言えるのが「訴状」の作成です。

裁判所によっては訴状の書き方を親切丁寧に教えてくれる場合があるのですが、それでもフリーランスが主張したい事を法的に正確に教えてくれるのか?と言う点については疑問が残ります。

(裁判所はあくまで中立的な立場ですので、フリーランスに有利になるような訴状の書き方は教えてくれないでしょう。)

訴状を作成するにあたっては「要件事実」と言った訴訟のルールを理解する必要があるのですが、それを勉強するには非常に時間がかかり、フリーランスにとってみれば非効率的です。

そこで今回は、業務委託契約に基づいて製作物を製作したにも関わらず報酬を支払ってもらえない件に特化し、具体的な事件を元に訴状の作成方法を解説して行きたいと思います。

ここでご紹介している訴状はあくまで一つの例ですが、報酬未払いについて訴状を作成する上で一つの考え方を示しているので、ご参考にしてみて下さい。

今回ご紹介している訴状は成果物がある契約です。いわゆるコンサルやコーチ等、成果物がない契約の場合の訴状は、違う書き方になります。

今回ご紹介している訴状はあくまでサンプルです。実際に使用する際は、ご自身の事件と照らし合わせて、ご自身の責任で使用して下さい。

1.事件の概要

山田太郎は個人のフリーランスで、主にポスターやチラシ・名刺等のデザインで生計を立てている。

この度、被告である(株)デフォルトカンパニーから「当社で行うセミナーで使用する、広告用のポスターを作成してほしい」と依頼を受け、山田太郎はそれを承諾し、ポスターのデザインを製作し、データとして(株)デフォルトカンパニーに引き渡した。

しかし、(株)デフォルトカンパニーに報酬の請求をした所、一部支払いはあったが全額の支払いが無いため、山田太郎は自分で裁判を行う事を決意した。

この内容を元に訴状を作成したいと思います。

2.報酬を支払ってもらえない時の訴状の作成例・サンプル(本人訴訟)

訴   状

令和2年9月1日

〇〇簡易裁判所 御中

原 告  山 田 太 郎 

当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

請負代金請求事件

訴訟物の価格     金 10万円
貼付印紙の額     金  1,000円

第1 請求の趣旨

1 被告は,原告に対し,金10万1,000円及びこれに対する令和2年8月17日から支払い済みに至るまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

との判決及び第1項につき仮執行の宣言を求める。

第2 請求の原因

1 請負契約の成立
原告と被告は少なくとも令和2年4月12日までに,被告が行うセミナーのイメージポスター制作に関する請負契約(以下,「本契約」と言う。)を締結した(甲1)。

(契約内容の詳細)
・被告が月1回開催している、高齢者向けの投資セミナーに関するイメージポスターのデザイン製作
・報酬は15万5,000円(消費税込)
・納期は令和2年5月10日
・報酬支払期限は同年5月末日限り
・ポスターはデータでの入稿を行う(印刷は原告では行わない)

2 仕事の完成及び引渡し
原告は,令和2年5月10日,本契約におけるイメージポスターのデータを完成させ,電子メールを利用する方法にて,被告に引渡した(甲2の1,甲2の2)。

3 請負代金の請求
原告は,被告に対し,同年5月20日,電子メールを利用する方法にて本契約の請負代金15万5,000円の請求書を送付し,本契約の請負代金を請求した。なお,本契約の請負代金の支払期限は同年5月末日限りである(甲3の1,甲3の2)。

4 被告の一部弁済
被告は,原告に対し,同年2年6月1日,本契約の請負代金の支払時期を同年7月末日にしてほしいと言う交渉を行ってきた(甲4)。原告は,本契約の請負代金の支払期日は過ぎていたが,取り敢えず請求金額の一部である5万5,000円を支払うよう被告に催告したところ,同年6月5日,被告は銀行振り込みによる方法により上記5万5,000円を原告に支払った(甲5の1,甲5の2)。なお,残金の支払い期限は同年7月末日限りである(甲6)。

5 請負代金の再度の請求
被告は,令和2年7月末日を経過しても本契約の請負代金の残金を支払わなかった為,原告は,被告に対し,同年8月3日,配達証明付内容証明郵便をもって同書面到達後10日以内に本契約の請負代金の残金を支払うように催告し,同郵便は同年8月6日に被告に到達した(甲7の1,甲7の2)。しかし被告は支払期日を過ぎてもこれに応じない。

第3 予想される争点

1 契約の当事者について
被告は,本契約の当事者は被告の代表取締役である鈴木一郎個人であり,本契約の当事者ではないと主張する可能性がある。しかし,原告は本契約において詳細な打合せは全て被告と行っており,また被告は被告名義で本契約の請負代金の一部である金5万5,000円を支払っている(甲5の2)。よって本契約の当事者は間違いなく原告と被告である。

2 仕事の目的物の瑕疵の有無について
被告は,仕事の目的物であるイメージポスターのデータに瑕疵があり,その為に本契約の請負代金の残金の支払いを拒否する主張を行う可能性がある。しかし,原告が,令和2年5月10日,当該イメージポスターのデータを電子メールで利用する方法にて被告に引渡した後,被告は当該イメージポスターのデータについて,瑕疵がある等の主張は一切行わなかった。さらに少なくとも同年6月2日には当該イメージポスターは印刷をされ完成し、実際に被告のセミナーで使用されている(甲8)。よって仕事の目的物には瑕疵等は存在しない。

第4 結語
よって,原告は,被告に対し,本契約に基づき,金10万円及びこれに対する令和2年8月17日から支払い済みに至るまで年3パーセントの割合による遅延損害金の支払いを求める。

証 拠 方 法

1.甲第1号証    電子メールプリントアウト書面
2.甲第2号証の1  電子メールプリントアウト書面
3.甲第2号証の2  原告が作成したイメージポスターのデータ
4.甲第3号証の1  電子メールプリントアウト書面
5.甲第3号証の2  請求書
6.甲第4号証    電子メールプリントアウト書面
7.甲第5号証の1  電子メールプリントアウト書面
8.甲第5号証の2  〇〇銀行の通帳
9.甲第6号証    電子メールプリントアウト書面
10.甲第7号証の1  催告書(内容証明郵便)
11.甲第7号証の2  郵便物等配達証明書
12.甲第8号証    被告のWebサイトのプリントアウト書面

附 属 書 類

1.訴状副本            1通
2.甲号証写し          各1通
3.資格証明書      1通

当事者目録

〒194―1235 東京都町田市町田北南一丁目2番3号(送達場所)
原 告  山 田 太 郎
TEL  042-123-45〇〇
FAX  042-123-45〇〇

〒234-5678 横浜市西区横浜町12345番地
被 告  株式会社デフォルトカンパニー
代表者代表取締役 鈴 木 一 郎

原告 山田太郎
被告 株式会社デフォルトカンパニー

証拠説明書

令和2年9月1日

〇〇簡易裁判所 御中

原告 山田 太郎 

号証標目原本・
写し
作成年月日作成者     立証趣旨
甲1電子メール
プリントアウト
書面
原本R2.4.12原告原告と被告がイメージポスター
製作に関する請負契約を
締結した事実
甲2の1電子メール
プリントアウト
書面
原本R2.5.10原告原告が被告に対し,電子メールを
使用して本契約における仕事の
目的物を引渡した事実
甲2の2原告が作成した
イメージポスター
のデータ
原本R2.5.10原告原告が本契約に基づいて作成した
本契約の仕事の目的物が完成
した事実
甲3の1電子メール
プリントアウト
書面
原本R2.5.20原告原告が被告に対し,本契約に基づく
請負代金を請求した事実
甲3の2請求書原本R2.5.20原告原告が被告に対し,本契約に基づく
請負代金の支払期限が
令和2年5月末日である事実
甲4電子メール
プリントアウト
書面
原本R2.6.1原告被告が原告に対し,本契約の請負
代金の支払期限を令和2年7月
末日にしてほしいと言ってきた事実
甲5の1電子メール
プリントアウト
書面
原本R2.6.1原告原告が被告に対し、当該請負
代金の一部である5万5,000円を
支払うよう催告した事実
甲5の2〇〇銀行の
通帳
原本不明〇〇
銀行
原告が被告に対し、当該請負
代金の一部である5万5,000円を
令和2年6月5日に支払った事実
甲6電子メール
プリントアウト
書面
原本R2.6.5原告本契約の請負代金の残金の
支払期限が令和2年7月末日
である事実
甲7の1催告書
(内容証明郵便)
原本R2.8.3原告、
郵便
認証司
原告が被告に対し,支払いを
督促した事実
甲7の2郵便物等
配達証明書
原本R2.8.6原告、
郵便
認証司
甲7号証の1が被告に到達した事実
甲8被告のWebサイト
のプリントアウト
書面
原本R2.9.1原告本件イメージポスターが被告に
よって使用された事実
(本契約の仕事の目的物に
瑕疵がない事実)

以下、それぞれの項目について、詳しく解説します。

3.タイトル(訴状)や管轄裁判所等の記載

訴   状

令和2年9月1日※1

〇〇簡易裁判所 御中※2

原 告  山 田 太 郎 ㊞ ※3

当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり※4

請負代金請求事件※5

訴訟物の価格     金 10万円※6
貼付印紙の額     金  1,000円※7

※1・・・日付は実際に訴状を作成した日付を記載します。

※2・・・管轄の裁判所を記載します。管轄は色々とありますが、報酬支払事件の場合、フリーランスが住んでいる(仕事をしている)所を管轄する裁判所で大丈夫です。

詳細な管轄は下記ページをご覧下さい。

※3・・・押印する印鑑は認印で大丈夫です。なお、裁判所によっては訴状の上の余白に捨印を求められる場合があります。

※4・・・当事者の表示は原告と被告の住所・氏名等を記載しますが、ここに記載しても良いですし、記載例のように別途目録で記載する方法でも構いません。

※5・・・事件の種類を簡潔に表す事件名を記載します。

なお、どのような事件名を付けるかについてルールはありませんが、事件の類型によってある程度決まっています。今回のように製作物を作成した報酬の請求については、「請負代金請求事件」とします。

※6・・・被告に請求する未払いの報酬金額を記載します。

※7・・・訴訟物の価格に対する手数料(印紙代)を記載します。

具体的な金額は下記のページをご覧下さい。

【少額訴訟の場合】

少額訴訟を行う場合、下記のように少額訴訟を行う旨と、その裁判所で同じ年に少額訴訟を行った件数を訴訟物の価格&貼付印紙の額の下に記載します。

少額訴訟による審理及び裁判を求めます。本年,御庁において少額訴訟による審理及び裁判を求めるのは1回目です。

4.請求の趣旨

第1 請求の趣旨

1 被告は,原告に対し,金10万1,000円及びこれに対する令和2年8月17日から支払い済みに至るまで年6パーセントの割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

との判決及び第1項につき仮執行の宣言を求める。

1について。

被告に対して請求する具体的な金額(未払い報酬金額)とそれに対する遅延損害金の割合を記載します。

遅延損害金のパーセントは契約で決まっていればそのパーセント、契約で決まっていなければ「年3%」と記載します(法定利率)。

なおいつから遅延損害金が発生するかについては、色々なやり方がありますが、本記載例では最終支払日の翌日からとしています。

2について。

訴訟費用とは、訴訟手続を行う上で支出された費用で、法律で定められた範囲のものを言います。

弁護士や司法書士に対する報酬は、ここで言う訴訟費用に該当しません。

実務上、「訴訟費用は被告の負担とする」と記載しますが、勝訴した場合、訴訟費用を請求する事は実務上あまりありません。

5.請求の原因について

① 業務委託契約(請負契約)の締結とその内容

1 請負契約の成立
原告と被告は少なくとも令和2年4月12日までに,被告が行うセミナーのイメージポスター制作に関する請負契約(以下,「本契約」と言う。)を締結した(甲1)。

(契約内容の詳細)
・被告が月1回開催している、高齢者向けの投資セミナーに関するイメージポスターのデザイン製作
・報酬は15万5,000円(消費税込)
・納期は令和2年5月10日
・報酬支払期限は同年5月末日限り
・ポスターはデータでの入稿を行う(印刷は原告では行わない)

ポイントは下記の通りです。

・いつ業務委託契約を締結したのか?
・依頼された業務の内容は具体的にどのようなものか?
・仕事の完成納期はいつか?
・報酬はいくらか?報酬の支払い時期はいつか?、等

このような内容を訴状に記載します。

なお、実務上契約がいつ成立したのかが不明確な場合があると思います。

その場合は、「少なくとも〇年〇月〇日までに契約が成立した~」と記載すればOKです。

なお、主要な事実については証拠がある場合、どの証拠がその事実を表しているのか、証拠のナンバーを文末に記載します。

原告側が用意する証拠を「甲〇号証」、被告が用意する証拠を「乙〇号証」とそれぞれ名前の番号を付けます。

② 仕事の完成及び引渡し

2 仕事の完成及び引渡し
原告は,令和2年5月10日,本契約におけるイメージポスターのデータを完成させ,電子メールを利用する方法にて,被告に引渡した(甲2の1,甲2の2)。

請負契約は原則として依頼された仕事を完成させ、製作物を引き渡す事によって報酬の請求権が発生します。

その為、仕事を完成させた事と、引き渡した事を訴状の中で主張し、それに関する証拠も記載します。

③ 請負代金の請求

3 請負代金の請求
原告は,被告に対し,同年5月20日,電子メールを利用する方法にて本契約の請負代金15万5,000円の請求書を送付し,本契約の請負代金を請求した。なお,本契約の請負代金の支払期限は同年5月末日限りである(甲3の1,甲3の2)。

請負代金の請求書した事、その証拠を記載します。

④ 被告の一部弁済

4 被告の一部弁済
被告は,原告に対し,同年2年6月1日,本契約の請負代金の支払時期を同年7月末日にしてほしいと言う交渉を行ってきた(甲4)。原告は,本契約の請負代金の支払期日は過ぎていたが,取り敢えず請求金額の一部である5万5,000円を支払うよう被告に催告したところ,同年6月5日,被告は銀行振り込みによる方法により上記5万5,000円を原告に支払った(甲5の1,甲5の2)。なお,残金の支払い期限は同年7月末日限りである(甲6)。

事例のように請求金額について一部の支払いがあった場合、その旨を記載します。

また、その交渉の中で残額をいつ支払うかの合意が当事者双方でされた場合、その支払い期日(期限)も記載します。

⑤ 請負代金の再度の請求

5 請負代金の再度の請求
被告は,令和2年7月末日を経過しても本契約の請負代金の残金を支払わなかった為,原告は,被告に対し,同年8月3日,配達証明付内容証明郵便をもって同書面到達後10日以内に本契約の請負代金の残金を支払うように催告し,同郵便は同年8月6日に被告に到達した(甲7の1,甲7の2)。しかし被告は支払期日を過ぎてもこれに応じない。

報酬未払いの場合、最終的に内容証明郵便を送付すると思いますので、内容証明郵便の中でいつまでに支払うのか、被告に内容証明郵便が届いた日を記載します。

事例では8月6日に被告に内容証明郵便が届き、支払い期限の8月16日までに支払いが無かった為、その翌日の8月17日から遅延損害金が発生しています。

6.予想される争点

1 契約の当事者について
被告は,本契約の当事者は被告の代表取締役である鈴木一郎個人であり,本契約の当事者ではないと主張する可能性がある。しかし,原告は本契約において詳細な打合せは全て被告と行っており,また被告は被告名義で本契約の請負代金の一部である金5万5,000円を支払っている(甲5の2)。よって本契約の当事者は間違いなく原告と被告である。

2 仕事の目的物の瑕疵の有無について
被告は,仕事の目的物であるイメージポスターのデータに瑕疵があり,その為に本契約の請負代金の残金の支払いを拒否する主張を行う可能性がある。しかし,原告が,令和2年5月10日,当該イメージポスターのデータを電子メールで利用する方法にて被告に引渡した後,被告は当該イメージポスターのデータについて,瑕疵がある等の主張は一切行わなかった。さらに少なくとも同年6月2日には当該イメージポスターは印刷をされ完成し、実際に被告のセミナーで使用されている(甲8)。よって仕事の目的物には瑕疵等は存在しない。

先に申し上げますが、この項目は本来、訴状の中では必要とされおらず、あくまで被告から反論(これを『抗弁』と言います。)があった場合に、初めて主張すべき内容です。

ただし、被告の欠席が予想される場合、被告が法律的に主張してくるであろう抗弁について、先回りして潰しておく事により、無駄な期日を行う事を防ぐ事が出来ますので、私はあえて訴状に記載するようにしています。

特に少額訴訟は原則として1回の期日で終了しますので、1回で終了出来るよう、予想される被告の主張を先回りして潰す意味は、十分にあると言えます。

本事例では契約当事者と仕事の製作物に瑕疵(欠陥)がある事を被告が主張する事を想定し、それに対する反論を記載しています。

7.結語

よって,原告は,被告に対し,本契約に基づき,金10万円及びこれに対する令和2年8月17日から支払い済みに至るまで年3パーセントの割合による遅延損害金の支払いを求める。

ここはまとめの部分です。

請求の趣旨で記載した内容を再度まとめ的に記載します。

8.証拠方法

証 拠 方 法

1.甲第1号証    電子メールプリントアウト書面
2.甲第2号証の1  電子メールプリントアウト書面
3.甲第2号証の2  原告が作成したイメージポスターのデータ
(省略)
10.甲第7号証の1  催告書(内容証明郵便)
11.甲第7号証の2  郵便物等配達証明書
12.甲第8号証    被告のWebサイトのプリントアウト書面

訴状で主張した内容について、その証拠を記載します(甲〇号証、と言うようにナンバリングします)。

なお、一つの主張に対する証拠で、2つ以上に分かれている証拠(上記の甲7号証のような)については「甲〇号証の1、甲〇号証の2・・・。」と言う風にナンバリングします。

9.附属書類

附 属 書 類

1.訴状副本            1通
2.甲号証写し          各1通
3.資格証明書      1通

訴状副本は、訴状と全く同じ物と思って下さい。

この訴状副本は被告に対して送達されます。

証拠(甲号証)は原本を裁判所に提出するのではなく、コピーで大丈夫です(そのコピーの右上辺りに「甲〇号証」と赤文字で記載します)。

また被告に送達する為、コピーは2部必要になってきます。

3の「資格証明書」は訴訟の当事者が株式会社等の法人の場合、必要になってきます。

いわゆる「登記事項証明書」「代表者事項証明書」と呼ばれるもので、その法人の代表者が誰なのかを明確にする為必要になってきます。

10.当事者目録

当事者目録

〒194―1235 東京都町田市町田北南一丁目2番3号(送達場所)
原 告  山 田 太 郎
TEL  042-123-45〇〇
FAX  042-123-45〇〇

〒234-5678 横浜市西区横浜町12345番地
被 告  株式会社デフォルトカンパニー
代表者代表取締役 鈴 木 一 郎

原告、被告について、住所や氏名等を記載します。

原告側の住所には(送達場所)と記載します(今後、送達場所と指定した所に裁判所からの郵便物が届くようになります)。

当事者が法人の場合、「代表者代表取締役」等の肩書をつけて、代表者の名前を記載します。

11.証拠説明書

原告 山田太郎
被告 株式会社デフォルトカンパニー

証拠説明書

令和2年9月1日

〇〇簡易裁判所 御中

原告 山田 太郎 

号証標目原本・
写し
作成年月日作成者     立証趣旨
甲1電子メール
プリントアウト
書面
原本R2.4.12原告原告と被告がイメージポスター
製作に関する請負契約を
締結した事実
甲2の1電子メール
プリントアウト
書面
原本R2.5.10原告原告が被告に対し,電子メールを
使用して本契約における仕事の

目的物を引渡した事実

(以下、省略)

証拠説明書は提出した証拠が、どのような事実に対する証拠なのかを分かりやすくした一覧表です。

これがあると裁判官が事件の概要を理解するのに役に立ちます。

「原本・写し」の欄ですが、(裁判所に提出する証拠は写しですが)自分が持っている証拠が原本なのか、それとも写し(コピー)なのかを表記します。

メールの文面をプリントアウトした場合、正確には「原本」と言う概念はありませんが、原告がプリントアウトしたと言う事で「原本」と表記します。

12.まとめ

報酬未払いについて、訴状の中で主張すべきポイントをまとめてみます。

・どのような仕事を依頼されたのか?
・報酬はいくらか?
・仕事の納期はいつか?
・仕事はいつ完成し、いつ引渡したのか?
・報酬の支払い期日はいつか?

業務委託契約(請負契約)に基づく報酬を請求する場合、この内容を証拠と共に訴状の中で主張すればOKですし、このポイントさえ分かれば、後は文章作成能力の問題となります。

ここまで読まれて「よし!チャレンジしてみよう!」と思われた場合、ぜひチャレンジしてみて下さい。

とは言え、「ちょっと自分には無理そうだな・・・。」と思わた場合は、遠慮なくお問い合わせください。

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甲斐 智也

甲斐 智也

表現者。元舞台俳優。演劇を活用した論理と感性のハイブリッドコンサル。趣味はキックボクシングとランニング

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甲斐 智也

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表現者。元舞台俳優。演劇を活用した論理と感性のハイブリッドコンサル (詳しい自己紹介は画像をクリック!)。

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