こんにちは。甲斐です。
ビジネスでは様々な営業方法がありますがその中の一つが、積極的な情報発信です。
紹介でビジネスが回っているとしてもやはりある程度の新規集客は必要であり、また何らかの専門家であれば情報発信は死ぬまで行う必要があるでしょう。
なのでSNSを積極的に使っている方もいらっしゃると思いますが、SNSと切っては切れないのが「誹謗中傷」です。
芸能人やアスリートがSNSで誹謗中傷される事が良くありますが、ビジネスパーソンであっても例外ではありません。
ちなみに、僕もつい最近、Twitterで誹謗中傷にあいました。
相手は匿名アカウントで「不動産投資で月収〇万円を達成!」とプロフィールに書いているアレな人で、色々な人に噛みついてはブロックされていたので、正直まともに相手をしなかったんですが、それが気に入らなかったようです。
まぁ、それはさておき、SNSと誹謗中傷は切っても切れない関係性であり、ビジネスインフルエンサー界隈ではそれを利用し、誹謗中傷による訴訟合戦をしている人もいますね。
そこまで大事にならなくても何らかの情報発信を行っていれば見知らぬ誰かに誹謗中傷される事もあります。
じゃあ裁判をするか?と言う話しになるかもしれませんが、「難しくて面倒くさい」と言うのを一般の方も良く言っています。
なんで誹謗中傷の裁判は面倒くさいのか?
開示請求をしなくてはいけない場合があると言う点もそうですが、実は他にも理由があります。
今回はこの点につき、判手続きを仕事として行っている司法書士の視点から、この「面倒くさい」原因をお話したいと思います。
1.裁判は「要件事実」と言う厳格なルールで行われる
「裁判はルールのあるケンカである」とか言われているんですが、そのルールと言うのが「要件事実」と呼ばれるものです。
簡単に言うと、
「AとBと言う事実があれば、Cと言う法的効果が発生する。」
と言うルールです。
このような事実→法的効果の具体的な内容が各法律の条文に書かれているので、
・お金を貸したら返して貰える。
・仕事を請け負ったら報酬を貰える。
と言った権利が発生するんですね。
だからこそ、裁判を行う前に「そもそも当事者間でどのような事実があったのか?その事実に関する証拠はあるのか?」と言う点を明確にする必要があるんです。
大前提として事実が無ければ法的効果は生まれませんので。
そしてその事実を主張するのであれば証拠が必要になってくる(相手が事実を争った場合)のです。
2.誹謗中傷の「要件事実」はややこしい
こんな感じで要件事実の考え方そのものは「事実→法的効果」とシンプルなんですが、ややこしいのが誹謗中傷の要件事実です。
誹謗中傷を民事で争う場合、「不法行為」と言う類型になるのですが、この不法行為の条文(要件事実)を見てみましょう。
民法第709条です。
『故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。』
慰謝料に関する条文も見てみましょう。民法第710条です。
『他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。』
どうでしょう?
一応日本語で書かれているので、言葉そのものは分かると思いますが、抽象的過ぎるので、
「で?具体的にはどんな状況で誹謗中傷になるの??」
と言う疑問が湧きませんか?
この要件事実が「抽象的すぎる」と言うのが、誹謗中傷の裁判が難しくて面倒くさいと言う根本的な原因なのです。
もちろん、個別具体的な状況について、誹謗中傷に該当するのか否かは過去の裁判例があるのですが、逆に言えば誹謗中傷に関しては過去の裁判例をイチイチ分析する必要があるんですね。
単なる貸した金返せとか、報酬支払えとかに比べて、頭を使う事が遥かに多いのです。その為、一般の方には難易度が高いので、弁護士を付けざるを得ないと言う現状もあります。
3.実際に誹謗中傷されたら・・・
こんな感じで誹謗中傷の裁判は面倒くさいのですが、誹謗中傷をされた場合、裁判するしないはとにかく、証拠はちゃんと保存した方が良いですね。
SNSの画面のスクショをしたりとか。その上でどうするのか?を弁護士と相談した方が良いと思います。
あと、自分自身で「ここまでされたら裁判する」と言う基準を明確に決めておくのも良いと思います。そうする事で、誹謗中傷による精神的なストレスが少しでも緩和される事がありますから。
4.まとめ
誹謗中傷されると精神的に凹む場合がありますが、誹謗中傷している人ってハッキリ言えば、「精神的に未熟で非常に幼い」んですね。
だって、いい大人が他人に意味不明な悪口を言うわけですから。
そんな姿、自分の子供や家族に自信を持って見せる事が出来るんですかね?と思いませんか?
まぁ、所詮はその程度のレベルの話しなので、誹謗中傷されてもあまり気にしない方が良いです。あまりにも悪質であれば話しは別ですが。