こんにちは。甲斐です。
独立開業でも副業でもそうですが、起業を行った場合、不特定多数の人と取り引きを行う事になりますが、この「取引相手」について注意をしなくてはいけない事があります。
自分とは価値を合わない、後々クレーマーになりそうな人を排除すると言ったお客さんの「属性」に関する事なのですが、いわゆる「反社会的勢力」への対応もこの属性に関する事になります。
起業当初はとにかく売り上げを確保する必要があるので、この反社会的勢力への対応は後回しになりがちですが、ここをおろそかにすると致命的な損害を被る可能性があります。
今回はビジネスにおける「重要な守り」の要素である、反社会的勢力への対応についてお話します。
1.なぜ反社対応が重要なのか?
暴力団対策法が施行されて以来、社会的に暴力団等の反社会的勢力の排除の流れが進んできています。
それはビジネスの世界においても例外ではなく、政府が平成19年に「企業が反社会的力による被害を防止する指針」を公表し、企業に対しても反社対応を求めるようになりました。
指針の基本原則として、以下の項目が挙げられています。
・組織としての対応
・外部専門機関との連携
・取り引きを含めた一切の関係遮断
・有事における民事と刑事の法的対応
・裏取引や資金提供の禁止
実際に反社会的勢力と関係を持ってしまった場合、ビジネス活動において致命傷になる事もあり、そう言った面でも反社対応は全ての企業が取り組むべき重要課題と言えます。
その為、起業家であれば起業当初から反社対策は意識する必要があり、組織の規模に応じた社内整備が必要となってきます。
2.社内体制を整備する
上記の政府の指針において「反社会的勢力」とは、「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」と定義されています。
つまり、反社会的勢力の定義として現役の暴力団員のみを指していると言うわけではないので、この点は注意が必要です。
また、実際に適切な反社対応を行い、企業及び従業員を守るためには、社内において実効的な体制を築く必要があります。
具体的な例として下記の事項が挙げられます。
- 「反社会的勢力排除ポリシー」等の名目で、企業の反社会的勢力排除の基本方針を内外に公表する。
- 従従業員等が業務中に反社と思われる人物と接触した場合の具体的対応を明記したマニュアルの整備。
- 従業員、役員向けの反社対応に関するセミナー等への参加。
3.取り引きにおける具体的な反社対応
① 契約書に反社排除条項を明記する
取り引きに関する契約書には、必ず反社排除条項を記載する必要があります。取り引きの相手が反社であった場合に、契約を解除する根拠となり得る為です。
具体的な内容としては、
- 取引相手が反社会的勢力に該当しておらず、また今後も該当しない事。
- 反社会的勢力と関係を有していない事および今後も有しない事。
を相手方に表明させる事と、それらの違反が発覚した場合、無条件で契約を解除出来る事、解除によって反社会的勢力に損害が発生しても一切損害賠償責任が生じない事等です。
② 取り引き前の確認
取引相手が反社会的勢力に該当するか否かを確認する、いわゆる「反社チェック」と呼ばれるものです。
ただ、個人事業主や一般企業が反社会的勢力に関するデータベースを構築するのは簡単でありませんし、不正確な情報を元に反社扱いしてしまった場合、クレームに発展する可能性もあります、
簡易な方法としては、取引相手の企業や代表取締役についてインターネット検索を行い、もし疑わしい情報が出た場合は、警察や各都道府県の「暴力追放運動推進センター」に照会を行うと言う方法があります。
また、有料で反社チェックを行う企業もありますので、そのようなサービスを利用すると言う方法も考えられます。
③ 取り引き後に相手が反社だと判明した場合
取引開始後に相手が反社会的勢力に該当すると判明した場合、相手との契約解消を行う事になります。
契約書に反社排除条項を法的根拠として契約解除を行いますが、相手方が不当要求や訴訟を行ってくる事が考えられます。
その為、初期段階から弁護士等の専門家と相談しながら対応を行った方が良いでしょう。
4.まとめ
人によっては「取引相手が反社会的勢力なんて、そうそうあり得ない事態でしょ?」と思われるかも知れません。
しかし、一見分からないだけで反社会的勢力は身近にいる事があり、さらに起業したばかりの人間は反社対応が甘い事があり、良く狙われがちになります。
独立開業も副業もそうですが、自分の身は自分で守る事が大原則です。集客と言った攻めの部分だけを意識するのではなく、しっかりと「守り」の部分も意識するようにしましょう。