グレーゾーン解消制度の注意・問題点。絶対的に過信するのは危険かも?

法律知識一般

こんにちは。司法書士の甲斐です。

最近このような記事が少し話題になったのをご存じでしょうか?

法律文書作成サービスが超えてはならない一線—グレーゾーン解消制度の法務省見解
離婚協議文書案自動作成サービス等を行おうとする企業がグレーゾーン解消制度を申請したところ、「弁護士法に違反すると評価される可能性がないとはいえない」との結論に。いったい何が問題とされたのでしょうか。

簡単に言えば「弁護士ではない者が法律文書の作成サービスを行おうとして、そのビジネスモデルが適法かどうかを法務省に確認したところ、弁護士法的にほぼNGである回答を得た」と言う内容です。

これは「グレーゾーン解消制度」を利用した結果のお話なのですが、私はグレーゾーン解消制度について、「色々な問題があるなぁ・・・」と前々から感じていました。

今回はそのグレーゾーン解消制度の問題点のお話です。

1.グレーゾーン解消制度とは?

「グレーゾーン解消制度」とは、ビジネス面における日本の規制を是正し産業競争力を強化することを目的として、経済産業省が運用する制度の事です。

この制度は、新事業活動を実施しようとする企業が、その新事業を管轄することとなる主務大臣に対し、規制の解釈と法令適用の有無について確認を求めることができる制度です(産業競争力強化法7条)。

簡単に言えば、新しい事業を行おうとしたけど、「この事業、〇〇法に抵触するんじゃないか?」と思った時に、その新事業を管轄する省庁に対して、新事業が〇〇法に照らし合わせてOKかNGかの確認を求める事ができるのです。

普通に考えたら事業者としてはありがたいですよね。

自分がやろうとしているのが世の中にはまだない新サービスで、資金等を提供してくれる利害関係人も沢山いる。

でもいざ事業活動してみたら「〇〇法に照らし合わせて違法ですよ。」なんて言われたら多くの人間に迷惑をかけてしまいますので。

そんな法律的に不安定な状況でも、関連省庁から「その新事業活動は問題ないですよ。適法ですよ。」と確認されれば自身をもってビジネス活動が出来ますから。

このように、グレーゾーン解消制度は事業者から見れば「お上のお墨付きをもらう」ような感覚なのですが、この感覚に実は問題点が潜んでいるのです。

2.グレーゾーン解消制度の注意点・問題点

① そもそも、警察や裁判所を拘束する判断ではない

グレーゾーン解消制度における回答は、確認を求める対象となる法令(条項)を所管する立場である各省庁が、照会者から提示された事実のみを前提として、現時点における見解を示すものです。

日本には三権分立の原則があり、法律の適用を最終的に行うのは裁判所です。

また、何らかの犯罪行為の可能性があった場合に捜査を行うのは警察等です。

その為、グレーゾーン解消制度による回答(判断)は裁判所や警察等の捜査機関を拘束するものではありません。

つまり、グレーゾーン解消制度による回答でOKであっても、後からNGになる可能性があるのです。

② 照会書に記載された事業活動のみで判断される

グレーゾーン解消制度を利用するには、新事業活動について「具体的にどのような事を行うのか?」と言った内容を照会書にまとめ提供する必要がありますが、省庁はあくまでその提供された前提事実のみで判断します。

その為、各省庁に提出した前提事実とは異なる事を行った場合、当然ながらグレーゾーン解消制度の範囲外になってしまいます。

➂ 各省庁の回答を「自分たちの都合の良いよう」に解釈する可能性がある

グレーゾーン解消制度における各省庁の回答は書面で行われますが、例え新事業活動が「ある法律に照らし合わせて適法」と言う回答があったとしても、その回答の内容には前提条件がついている場合があります。

例えば、下記のケースです。

グレーゾーン解消制度に係る事業者からの照会に対し回答がありました (METI/経済産業省)
産業競争力強化法に基づく「グレーゾーン解消制度」について、経済産業省所管の事業に関する照会に対して、法務省から回答がありました。

これは会社の本店移転登記申請の必要な書類を生成できるWEBサイトを通じたサービス等の提供について、司法書士法第3条第2項第2号に抵触しないか?と言う照会について、法務省が回答した内容です。

それに関する法務省の回答は下記の通りです。

(照会内容)の事業は、登記所に提出する株式会社の本店移転の登記に必要となる登記申請書、印鑑届出書等を利用者の判断において作成する場合に限定されており、個別の事案において利用者からの依頼に基づき個別具体的なアドバイスをするようなものでない限りにおいて確認の求めのあった法令の条項との関係においては、(照会内容)の事業は全部実施可能である。

上記の太字の部分が前提条件となります。

グレーゾーン解消制度を利用して「お上からお墨付きをもらった」事だけに注目し、その前提条件をすっ飛ばしたり、前提条件を良く理解しようとしない事業者が出てくる可能性も否定できません。

回答書が法律的な言い回しで非常に分かりにくいと言う原因もありますが、各省庁の回答を「自分たちの都合の良いように解釈しがちになる」と言う問題点もあるのです。

3.まとめ

「グレーゾーン解消制度の判断は裁判所や警察等の捜査機関を拘束しない」とお話しましたが、事実上拘束する事はあり得ると思います。

とは言えそれは確実ではありませんし保証もない事です。

考え方や判断基準の一つして参考には出来ると思いますが、個人的な感想として、グレーゾーン解消制度の回答を絶対的に信頼するのは少し危うい感じがします。

この記事の執筆者(文責)
司法書士 甲斐智也

起業支援と商品・サービスのコンサル化のお手伝いもする司法書士|マーケティング思考でコンセプトをしっかりと考えた会社設立します|2級FP技能士|たまに心理カウンセラー|某球団マスコットの中の人の経験あり

SNSをフォローする
【起業や会社設立等に関するコンサルティング】
【起業のご相談はお任せ下さい。国家資格者である司法書士がしっかり対応致します】当事務所では起業や会社設立、その他コンサルティングに関するご相談を随時行っております。ご相談はzoomでのご対応が可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。
法律知識一般
SNSをフォローする
司法書士×起業・マーケティング思考ブログ