信頼されるコンサルは「業法」「文化」「職業倫理」を真摯に学んでいる

コンサルティング・問題解決思考

こんにちは。甲斐です。

コンサルタントはクライアントさえ自覚していない問題を根本的に解決し、クライアントに対して利益を与える事についてその存在意義があり、本来であれば高度な専門職です。

ただ、コンサルタントは資格が必要ではなく誰でも名乗る事ができるので、高額なコンサルフィーに見合わない低品質な提案をするコンサルも少なくありません。

例えば「売上があがらない」と言う自宅サロン経営者に対して、商品・サービスを全く見ずに何の脈絡もなく「内装をリニューアルしましょう」とアドバイスするコンサルとか。

その為、コンサルタント=「仕事が出来ない詐欺師まがいの存在」と言った印象を持っている人も少なくないのです。

この記事を読まれているあなたは、もしかしたら何らかのコンサルタントであり、「このような低品質のコンサルとは一緒にするな!」と思われているかもしれませんね。

でも、世間のコンサルの印象は、けっして良いものだけではありません。

それではこのような低品質なコンサルと差別化して、クライアントから本当に信頼されるコンサルになるにはどうすれば良いか?

一つのポイントは、クライアントの業界の「業法規制」「文化」「職業倫理」を真摯に学ぶ事でしょう。

1.業法の規制を本質的に理解する

何らかのビジネスを行う上で一般的なルールとして民法や商法があります。しかしそれだけではなく、その業界によって適用される「業法」も存在します。

建設業であれば「建設業法」、銀行であれば「銀行法」、マーケティング業界であれば「景表法」、司法書士であれば「司法書士法」、等々。

これらは「業法」と呼ばれていますが、なぜこの業法が存在するのか分かりますか?けっして無能な政治家が、起業家や企業をいじめるために面倒な規制を作っているわけではないのです。

業法による規制がある理由、それは取引や業界のルールを定める事により、法的安定性を確保し、結果として経済活動を健全とする為にあります。

自分勝手な理屈で商売をしてお客さんや利害関係人に損害を与えてしまえば、結果として日本と言う国そのものが大混乱になってしまうので。

なお、一部のコンサルはこの業法の「穴」を見つけてクライアントを儲けさせようとしていますが、その「穴」はしょせんは脱法的な行為であり、多くの問題があります。つまり、コンサル自体が業法に関する本質的な理解が乏しいので、このような間違ったアドバイスをクライアントにしてしまうんですね。

本当にクライアントの利益を優先するのであれば、クライアントが属する業界の業法を本質的に理解するのが最優先です。

とは言え法律は難しい文章で書かれており、また各業法の条文数は多い物で数百に渡り全部を見るのが事実上不可能な事もあります。

そのような場合は、各業法の前の方にある「目的規定」を見ましょう。

目的規定は各業法が定められた理由が明記されていて、結果としてどのような社会にしたいのか?と言う理念が明記されています。例えば建設業法ではこのように明記されています。

(目的)
第一条 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

建設業法 | e-Gov法令検索

「建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」これが建設業法の目的であり理念です。

このように各業法の目的規定を見る事で、その業法が実現したい事が分かります。

この目的規定や各業法の本質を掴み、それを踏まえた上でクライアントが抱えている問題について適切にアドバイスする、それが結果として市場からクライアントが評価される事に繋がり、それがコンサルの評価へと繋がるのです。

2.クライアントの業界の文化を知る

また各業界には独特の「文化」があり、この文化を理解する事も重要になってきます。

分かりやすい例で言えば製造業には「カイゼン」の文化がありますし、ベンチャー系であればベンチャーの独特の文化があるでしょう。

この文化は業法のように調べれば簡単に分かるシロモノではなく、クライアントに対する丁寧なヒアリングや行動を観察して初めて理解できるものです。

クライアント企業の社長や担当者だけではなく、クライアント企業の従業員にもヒアリングしたり仕事上の行動を観察したり、さらに言えば、従業員と一緒にクライアント企業で働く事でその文化がようやく見えてくる事があります。

文化は言語化されていないものもありますので、最終的には「体感」する必要もあるんですね。

この文化は各業界特有のものであり、コンサル視点で考えたら「いや、この文化良く分からない」と思うかもしれません。

ただ、分からないのは仕方がないかも知れませんが、そこで切り捨てるのではなく「分かろうとする努力」はするべき。

例えクライアントの業界の文化が分からないても、分かろうとする姿勢そのものが信頼を生む事に繋がりますので。

3.どのような仕事にも「職業倫理」はある

さらに各職業には(明文化されている、されていないに関わらず)「職業倫理」が存在します。

倫理とは社会生活で人の守るべき道理であり、人が行動する際の規範となるものです。「職業倫理」とは、その職業のプロフェッショナルとして期待される個人や企業の倫理的な行動基準の事。

倫理と言ってしまうと「何だか難しい」「精神論的で胡散臭い」等の印象を受けるかも知れませんが、商品・サービスの説明をお客さんにきちんとするとか、業法をしっかり守るとか、その道のプロとしての当たり前の姿勢の事です。

ただ、日常の仕事の中で職業倫理を意識する事は中々少ないため、職業倫理を重要視すると言ってもピンとこないでしょう。

でも各業界の職業倫理を理解しておかないと「ウチは儲けのために商売をやってんじゃねぇ!このコンサルは何も分かっちゃいねぇ!!」と、倫理に対する理解・認識にすれ違いが生じ、クライアントとの信頼関係にヒビが入ってしまう事もあります。

特に士業に対してコンサルをしたい人は要注意です。

士業の倫理は業法により、一般の職業倫理よりはるかに高度なものが要求されているので、良かれと思ってアドバイスした事が士業の倫理にメチャクチャ反する事もありますので。

4.まとめ

過去の成功事例が通用しない、誰にも正解が分からない複雑系の現代社会において、コンサルの需要は今後ますます増えるはずです。

その一方、本質を理解していない低品質なコンサルも増えていくでしょう。その低品質なコンサルから抜け出し、しっかりとクライアントからの信頼・信用を得る為には、クライアントの事を深く知る必要があります。

それが今回お話しました「業法規制」、「文化」、「職業倫理」なのです。

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甲斐 智也

甲斐 智也

表現者。元舞台俳優。演劇を活用した論理と感性のハイブリッドコンサル。趣味はキックボクシングとランニング

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甲斐 智也

甲斐 智也

表現者。元舞台俳優。演劇を活用した論理と感性のハイブリッドコンサル (詳しい自己紹介は画像をクリック!)。

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