ビジネスにも活用できる「アート思考」とは?

俳優思考・アート思考

こんにちは。甲斐です。

ビジネスの世界では「〇〇思考」が沢山あります。

有名なのは「論理的思考(ロジカル・シンキング)」ですね。

主にコンサルタントが使い、筋道立てて物事を考え、クライアントの問題を解決する思考方法です。

論理的思考の代表的なツールとしてロジックツリーとMECEがあり、大きな問題を構成している要素について、もれなくダブりなく分解する事で本当に解決すべき問題を特定していくのが論理的思考の特徴です。

論理的思考は社会人の必須のスキルと言われており、問題解決の思考方法としては切っても切れない関係性があります。

しかし、現代社会の問題は論理的思考「だけ」では解決する事が難しい事が指摘されており、そこで近年注目されているのが「アート思考」です。

アート思考と聞くと芸術家が使う独特の思考方法に聞こえますが、実際にはビジネスの場面でも応用する事が可能となっています。

何だか分かるようで分かない「アート思考」。今回はそれを分かりやすくお話していきたいと思います。

1.アート思考とは?

と、カッコよく書き出したものの、実はこのアート思考は新しい概念であり未成熟な為、しっかりとした定義がまだない状態です。

つまり、人によってその意味合いが全く異なっているんですね。

一応の考え方としては、アーティストが作品を創作する上での思考プロセスを問題解決に応用しようとする取り組みです。

具体的には

・「自分だけのモノの見方」で世界を見つめ、「自分だけの感覚」で世界を感じて
・「自分なりの答え」を生み出し
・それによって「新たな問い」を生み出す

と言うアプローチをとる思考方法です(マーケティング的な考え方とは異なり、あくまで「自分起点」である事が特徴的ですね)。

突然ですが、あなたは美術館に行かれた事がありますか?

美術が好きではない人ではない限り、美術館に足を運ぶ事は中々少ないと思うのですが、習うより慣れよでアート思考を体感する為に、下記の作品を「じっくり」と見て下さい。

(実はこの作品、有名なアーティストの有名な作品なのですが、先入観を持ってほしくない為、まだ詳細な情報は伏せておきます。)

どうですか?じっくりと見ましたか?

で、そこで質問です。あなたはこの作品を見て、どのように感じましたか?

・・・といきなり言われても難しいかもしれませんが、これこそがアート思考の基本中の基本なのです。

一つの作品についてじっくりと鑑賞し、自分なりの見方をし、自分なりの答えを見つける。

「何か人間っぽいのが争っているような感じがする」
「左側にツノが生えている動物がいるけど、牛?牛が人を襲っているのか?」
「真ん中には馬っぽいのがいるけど、口から何か出しているようだ。ミサイルか?」
「真ん中の少し右側に顔だけの女性がいるけど、幽霊なのかな?」

と言った見た感じをアウトプットしても良いですし

ツノが生えた牛のようなヤツや口からミサイルを打っている馬みたいなヤツは魔王の手先。その魔王の手先に立ち向かっている人間がいて、真ん中の顔だけの人間が勇者。その証拠に手に聖なる武器を持っていて、頭上から希望と言う名の太陽を照らしている。

と言った、自分なりの解釈(物の見方)をしてOK。

正解不正解はなく、あくまで興味や好奇心から自分だけの見方や感じ方を大切にし、自分なりの答えを見つける。これがアート思考の神髄なのです。

実は「自分なりの答え」を出す事は、僕たちは非常に不得意としています。何故なら、学校で教わった事を思い出して欲しいのですが、誰かが考えた答えを上からなぞる作業、誰かが考えた答えをひたすら覚える作業をしていたハズです。

社会に出てもこの傾向は基本的に同じです。「社会は学校の授業と違って絶対的な答えはない」と言いつつ、上司やお客さんが考えた答えがあってそれに合わせる事が求められたり。

でも本当は、僕たちは興味や好奇心をフル稼働させて、自分なりの見方をし、自分なりの答えを見つけるのが得意だったはずです。

子供のとき、公園をあたかも秘密基地のように動き回ったり、何だか良く分からない材料で謎のおもちゃを作ったり、さらに謎のルールの遊びを考えたり。

その感性を取り戻し、ビジネスに応用するのがアート思考なのです。

(上記の作品はパブロ・ピカソが作成した「ゲルニカ」です。ドイツ空軍による無差別爆撃を受けた1937年に描いた絵画です。)

2.なぜ現代社会においてアート思考が注目されているのか?

このアート思考が注目されるようになった理由が、まさに上記で紹介しました「自分なりの答え」と言う部分です。

少し前の問題解決と言えば、成功事例を踏襲すれば良く、再現性がありました。

しかしながらVUCAと呼ばれる時代、変化が激しく、あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、想定外の事象が発生する将来予測が困難な状態である時代に突入しています。

なんかもう、何すれば良いのかぶっちゃけワケワカラン時代です。

そんな閉塞感がある時代に、自分の興味・好奇心を大切にし、それを元に色々な探求を行い、自分なりの見方を大切にして自分なりの答えを見つける。

そのような人材こそ、このぶっちゃけ良くワカラナイ時代に結果を出す事ができるのではないでしょうか?

アート思考は未成熟であり、限界も当然ありますが、絶対的な答えがない現代社会において求められる「自分なりの答え」を導き出す為には最適な思考法であり、だからこそ注目されているのです。

3.まとめ

このような新しいツール(?)が注目されると、今までの問題を全て解決する特効薬のような扱いで紹介される事がありますが、アート思考はそのような事はけっしてありません。

あくまで思考プロセスであり、その使い方を間違えると問題解決どころかとんでもない方向に物事が進む危険性があります。

また、論理的思考と同様に限界もありますので過度の期待は禁物で、あくまで論理的思考と併用して使う、と言う考え方の方が良いでしょう。

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甲斐 智也

甲斐 智也

表現者。元舞台俳優。演劇を活用した論理と感性のハイブリッドコンサル。趣味はキックボクシングとランニング

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甲斐 智也

甲斐 智也

表現者。元舞台俳優。演劇を活用した論理と感性のハイブリッドコンサル (詳しい自己紹介は画像をクリック!)。

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