暗号資産(仮想通貨)を出資して会社設立を行う場合の注意点

会社設立・商業登記

こんにちは。司法書士の甲斐(@tomoya_kai)です。

会社を設立する際、出資金の払い込みをする必要があるのですが、実はお金以外の物も出資の対象とする事ができます。

例えば車やパソコンと言った「物」や貸付金と言った「債権」でも出資の対象とする事ができます。

また、最近活発的に取り引きがされている「暗号資産(仮想通貨)」も現物出資の対象とし、会社設立をする事が出来るのですが、暗号資産を出資する場合、ポイントや注意点があります。

仮想「通貨」と言う名前ですが、金銭ではなくあくまで「現物」出資となります。

そこで今回は、暗号資産(仮想通貨)を現物出資して会社設立をする手続きの解説を行っていきたいと思います。

1.現物出資の基本

会社設立時に金銭以外の財産を出資の目的とするときは、原則として、対象財産の価格を調査させるために裁判所に対し検査役の選任の申し立てを行う必要があります。

ただ、この手続きはある程度の時間がかかりますし、検査役への報酬が発生する事もありますので、例外的にこの検査役の調査を省略することが出来る場合があります。

  • 現物出資財産の価格の総額が500万円を超えない場合
  • 現物出資の対象が市場価格のある有価証券である場合
  • 価格の相当性につき弁護士、税理士等の証明を受けた場合

つまり、暗号資産の価格の総額が500万円を超えない場合や、超えても弁護士、税理士の等の証明を受けた場合、検査役の申し立ては不要となります。

2.会社設立時に暗号資産(仮想通貨)を出資する場合の具体的な手続き

会社設立時に現物出資を行う場合、定款に財産の内容及びその価額を記載する必要があり、「財産の特定」をしっかりと行う必要があります。

また資本金(出資)は円を基準としているので、暗号資産の数量の記載だけでなく、定款作成時のレートで換算して暗号資産の数量を示す必要があります。

現在、暗号資産を保有している人は暗号資産の取引所や交換所の口座内で管理している事がほとんでしょう。

またそのレートも口座内で表示されていると思いますので、それらの情報を定款に記載し、サイトの口座情報(レート含む)をプリントアウトして保存しておきましょう。

【定款記載例】

(現物出資)
第〇条 当会社の設立に際して現物出資をする者の氏名、出資の目的たる財産及びその価額並びにこれに対して割当てる設立時発行株式の数は、次のとおりである。

現物出資者の氏名 鈴木一郎

出資の目的たる財産の表示
〇〇コイン株式会社が運営する仮想通貨取引所サービス〇〇コインの鈴木一郎の口座(口座番号〇〇〇〇〇)内の令和〇年〇月〇日時点における〇〇コイン

100〇〇コイン この価額 金300万円

割当てる設立時発行株式の数 300株

なお、現物出資を行った場合、その価額の妥当性について取締役が調査を行う必要があり、その調査報告書は会社設立の登記申請時の添付書類になります。

【調査報告書例】(あくまで例ですので、会社のご事情に応じて変更して利用して下さい。)

調査報告書

○○株式会社(設立中)の取締役に選任されたので、会社法第46条の規定に基づいて調査した。その結果は次のとおりである。

調査事項

1 定款に記載された現物出資財産の価額に関する事項(会社法第33条第10項第1号及び第2号に該当する事項)
定款に定めた、現物出資をする者は発起人鈴木一郎であり、出資の目的である財産、その価額並びにこれに対して割り当てる設立時発行株式数は以下のとおりである。

暗号資産

〇〇コイン株式会社が運営する仮想通貨取引所サービス〇〇コインの鈴木一郎の口座(口座番号〇〇〇〇〇)内の令和〇年〇月〇日時点における〇〇コイン

100〇〇コイン この価額 金300万円

割当てる設立時発行株式の数 300株

上記については、当時のレートより金300万円と見積もられるべきところ、定款に記載した評価価格は金300万円であり、これに対して割り当てる設立時発行株式の数は300株であることから、当該定款の定めは正当なものと認められる。

2 現物出資の目的たる財産の給付があったことは、別紙財産引継書により認める

3 払い込みが完了していることについては、別紙により認める。

4 上記事項以外の設立手続が法令又は定款に違反していないことを認める。

上記のとおり会社法の規定に従い報告する。

令和○年○○月○○日

設立時取締役 鈴木一郎 

3.暗号資産(仮想通貨)を現物出資する場合の注意点

① 暗号資産の価格が高騰した場合

暗号資産ってその評価額の高低差が激しい場合があり、実際に出資した以後に評価額が高騰する場合があります。

このケース、出資後に評価額が高騰しても、当事者に割り当てられた株式数に変化はありません

ただし、何らかの取り決めで、暗号資産が高騰した場合のルールを決めていた場合は、それに従う事になります。

② 暗号資産の価格が下落した場合

反対に、仮想通貨の価格が出資時よりも下落した場合には少し注意が必要です。

会社法上、出資財産の価額が不足する場合には、発起人および設立時取締役は連帯して不足額を会社に支払う義務を負います。

細かく言えば、「株式会社の設立の時における価額」が「定款記載の金額」に著しく不足する場合ですね。

上記の通り、暗号資産は数日間で価値が大幅に下落する可能性があり、「株式会社設立時」に定款記載の評価額に「著しく不足」してしまうことはある得るでしょう。

色々な対応策がありますが、定款作成~現物出資~登記申請のスケジュールを短くし、上記のリスクを極力減らす方法が考えられます。

4.まとめ

暗号資産(仮想通貨)の現物出資は会社設立時だけではなく、その後の増資(株式発行)の際にも現物出資を行う事ができます。

ただし、会社設立時と同様、様々な注意点がありますので、暗号資産を現物出資されたいけれど手続きについてお困り、お悩みの場合は、司法書士にご相談する事をお勧めします。

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